【映画】カラーパープル(2023):姉妹の絆に涙すること必至

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※ネタバレを含みます。

前作と同じ内容だけど表現方法が違う。今作はミュージカル映画!音楽はもちろん、指のスナップや足のステップなど古典的なリズム感が満載!

ざっくり概要

母親に先立たれ、父と妹ネティと暮らすセリー。彼女は父の子を2人産んだが、どちらも父に取り上げられ、消息は不明。その後、父に疎まれ、女性を軽視する男性と結婚させられる事になります。妻となってからは、夫ミスターからの暴力に耐えながら生きるセリー。
最愛の妹ネティもミスターによって追い出され、消息不明に。

耐え忍ぶセリーの人生に現れた二人の強気女性、ソフィアとシュグ。彼女らに出会い、少しずつ影響を受けていったセリーは、ある日大きな決断をします。そしてその先に待ち受けていたセリーの人生は、、、。

題材について

南北戦争後のアメリカは、奴隷制度撤廃を掲げつつもその影はまだ色濃く残っていて、日常に当たり前のように差別が存在していたと思われます。男尊女卑も根強かったのでは。
この作品は黒人男性が黒人女性を不当に扱うことについて、ひたすら耐えていた主人公が自分の周りにいるパワフルな女性達によって、少しずつ自尊心を取り戻し、自分の為に立ち上がり、そして花開くというハッピーエンドな展開のもの。

しかし、ストーリー全体に関しては全くハッピーではない事が多々あり、心苦しい内容もある為、”気軽に観られるミュージカル映画”とは言えないと思います。

主な登場人物

主人公:セリー /ファンテイジア・バリーノ
セリーの妹:ネティ /ハリー・ベイリー
セリーの夫:ミスター(アルバート) /コールマン・ドミンゴ
ハーポの妻:ソフィア /ダニエル・ブルックス
ミスターの彼女:シュグ /タラジ・P・ヘンソン
ミスターの子:ハーポ /コーリー・ホーキンズ
ハーポの彼女:スクイーク /H.E.R.(ガブリエラ・ウィルソン)

前作との違い

1985年版のカラーパープルは、原作がアリス・ウォーカーの小説です。 今作は、原作を元にしたブロードウェイのミュージカル作品が元となっている為、前作とは表現方法も、一部内容も違います。
事前に前作を観てしまっても、違う視点や解釈を知ることができるので、観飽きるということはまずありません。
むしろ対比を楽しめるので事前チェック、おすすめです。

前作との対比

前作で良かったのは、主人公セリーがどんな境遇に置かれても、控えめな性格だがユーモアを持ち合わせた人物だと”語り”によって理解できた部分だったと思います。
”語り”が重要だと思いました。(私がウーピー・ゴールドバーグのファンで、ウーピーの声だからよりそう思ったのかもしれませんが。)

今作で良かったと思ったのは、やはり音楽。音楽の力はすごい。
ミュージカル作品の映画化ということで、アメリカではメジャーな曲目なのかもしれませんが、ゴスペル調のソウルフルな歌声とカラフルな服で踊る人々の映像は、劇場で観た臨場感も合間って気持ちがよかったです。

更に、前作ではただ嫌なやつだったミスターですが、今作では彼の苦い過去が明かされました。
ミスターは、若い頃シュグの音楽グループに参加したかった。しかし父親の畑を受け継がなければならず、シュグへの想いも実らなかった、という悲しい過去があったのです。
確かに彼は映画の中でずっとギターを弾いていました。しかも結構おしゃれな感じで。

本当は、音楽に人生を捧げたかったのでしょう。思い通りにならない人生で、あのような悪い奴になっていってしまったのだろうか。とはいえ、セリーにしていた仕打ちは許せるものではないですが。
後半、雨の畑で泣きじゃくりながら「改める、、、」と呟くシーンは、ちょっとかわいそうに思ってしまいました。

●前作についてのレビューはコチラ↓
【映画】カラーパープル(1985):女性達の心は決して折れない

ネティの存在

ネティは、重要な存在です。前作でももちろんそうでしたが、今作では若くして有名になった俳優さんを当てた事で、重要さが増したように思います。実際、内容を知った上で観ていたにもかかわらず、再会のシーンは前作と表現こそ違えど涙を流さずにはいられませんでした。
セリーの思いもよらなかった再会の瞬間は、熱い感動が吹き荒れます。

最後に成功を収めたセリーでしたが、ネティが現れたことで彼女は本当にハッピーエンドを迎えることができたのだと思います。

まとめ

全体を通して感じる差別や暴力は、いつの時代だろうと許されるものではありません。

その中でも力強く生きる女性達のパワフルな魅力に、セリーが少しずつ影響されて自尊心を取り戻していく流れは、過去に差別や迫害に苦しんでいた黒人たちの間で、神に祈るように歌い上げられていたゴスペルミュージックが寄り添っているようで、厳しさの中に希望と優しさを感じるなんとも不思議な映画でした。