【映画】ノマドランド:自然美と音楽の優しさと、人を想う事の大切さ

※ネタバレを含みます。

エターナルズ公開前に、クロエ・ジャオ監督の作品を観ておきたいと思い鑑賞しました。

ざっくり概要

夫の死後、企業の倒産により住んでいた地を追われたファーンは、バンで生活しながら季節労働者として生きることになりました。移動しながら出会う様々な”ノマド”の人々と交流し、自分を見つめ直しながら、彼女はゆっくりと旅を続けるのでした。

そんなロードムービーです。

 

ざっくり感想

ファーンの抱える寂しさや悲しみと相反する雄大な自然の美しさ、控えめに奏でられる音楽が、これでもかというくらいに素敵で、人と人との関わり合い方や大切な人を想う気持ちについて振り返りたくなるような作品でした。

 

ファーンの背景に

いつも雄大な自然があります。夕陽、砂漠、国立公園、どのシーンもそのままの自然がとても美しく、流れる繊細な音楽は、その美しさを表現するために存在していると思うような感覚がありました。特に空。どのシーンでも空がとても美しかったです。

 

ファーンの想いを考察

最初は、死別した夫を今も想いながら、自分の状況も厳しく、寂しさや悲しさで泣いているのかなと思いましたが、観終わった後は、夫が愛した土地に最後までいたかった、夫が存在していたという事を自分の存在で証明し続けたかったのだと分かり、余計泣けました。

ファーンは何度か過去の写真を眺めています。

写真を見ながら、自分の人生や家族を想っているのかと思うと、人が一人っきりで生きるという事は、本当にハードなんだろうなと思いました。

 

ノマドとは

”遊牧民”という意味だそうです。現在は、定住せずに移動しながら生活する人を指し、この作品ではアメリカ西部で車上生活をしている人のことを、そう呼んでいます。

原作は、彼らノマドの環境に身を置いて徹底的に取材したというジェシカ・ブルーダーさん著作の「ノマドランド」で、この本はアメリカ社会の深刻な問題を提起したノンフィクション作品です。

クロエ・ジャオ監督も、実在するRTRというノマドの集会に参加し、実際にノマドの方々と話し、取材して、役者に起用し本人役を演じてもらっているそうです。

 

自分を見直すきっかけに

現在、日本で何不自由なくぬくぬくと暮らしている自分自身を見つめ直す、いいきっかけをもらえたと思いました。

常に新しい物を買って、消費しながら生きるのではなく、

大切な物を、大切な人と分かち合いながら、日々を、この普通の日常を、感謝の気持ちを持って楽しく生きようと思いました。